ディベートの立論

ディベートの立論

ここでは、私が見本用に作成した肯定側立論を掲載しています。実際のディベートの立論はこのような感じになります。肯定側ならばこの立論を擁護し、否定側ならばこの立論に対して反論を展開することになります。この立論の抱えている弱点とは何でしょうか。沢山あります。

論題「日本国政府は首都機能を移転すべし」

肯定側立論語句の定義:日本国政府・・・司法、立法、行政の3権。首都機能移転・・・日本国政府の中枢機能を東京以外の地域へ移転すること。

プラン:日本国政府は首都機能を阿武隈高原地域へ移転する。

サブプラン(1) 移転費用は14兆円とし、財源は国債発行によってこれにあてる。サブプラン(2) 移転人口は30万人とし、新首都は60万人まで収容可能な都市とする。サブプラン(3) 新首都の建築物にはすべて最新の耐震設計を施す。さらに、光ファイバー網などを中心とした大規模情報インフラを集中的に整備し、政府関係者の住宅や在京の企業や地方自治体などとネットワークを構築する。サブプラン(4) 移転後の東京の首都機能跡地は、都市公園として利用する。

▼メリット1 地震の直接的被害によって首都機能が麻痺する危険性が減少する

発生理由(1) まず、現状分析を行います。東京は、全国でも特別地震が起きやすい地域です。資料をあげます。

(国会等移転調査会報告 21ページより)千島列島沖から房総沖にかけての海底を震源とするものの密度が高いが、内陸部に震源を持つ地震が最も頻繁に発生しているのは関東平野南部であり、東京は日本列島の中でも特別に地震が起きやすい地域である。(引用終了)続いて立証を行います。首都機能は、自らが大規模な震災の被害を受けた場合、その機能が麻痺します。資料をあげます。

(同資料同ページより)首都機能は、災害発生時には災害緊急対策の総合調整をはじめとする危機管理の司令塔としての重要な任務を有しているが、首都機能自身が被災すると、応急対策の指揮・統括が充分に機能しなくなるおそれがあるばかりか、被害の状況に関する客観的かつ正確な情報が伝わらず、関東大震災等過去にパニックを引き起こした例もある。(引用終了)この立証について、もう1つ資料をあげます。

同資料同ページより。このほか、中央官庁が適切にその機能を発揮するためには、災害時でも職員が勤務する必要があるが、仮に職員の帰宅時に地震が発生した場合、交通機関の停止や都心部を取り巻くように広がっている老朽木造住宅の密集市街地の延焼などにより、職員の参集に支障を生じる恐れがある。(引用終了)もう1つ、立証を行います。福島県阿武隈地域は、全国でも有数の地震の安全性が高い地域です。資料をあげます。

(福島県のホームページ、福島県首都機能移転基本構造より)本地域の多くは、表層地質の大半が花崗岩類の堅固な地盤であり、活断層も少ないことから、地震に対する安全性は極めて高く、全国的に見ても北上山地、姫路付近と並んで震源となったことの少ない地域となっています。(引用終了)以上の分析および立証により、プラン導入によって地震危険度の高い東京から危険度の低い福島県へ移転するわけですから、地震の被災によって首都機能が麻痺する可能性は減少します。

発生理由(2) サブプラン(3)により、新首都には最新の耐震設計が施され、ネットワークによる情報伝達や情報交換が可能なため、新首都自体が万が一にも大地震にあっても、それによって首都機能が麻痺することを防ぐことができます。

重要性 首都機能が麻痺してしまった場合、災害への復旧対策や国の統治機能そのものが支障を来すわけですから、安全かつ幸福な国民生活が阻害されます。この危険性を減少させることができるのは、非常に大きなメリットです。

▼メリット2 日本経済を活性化できる

発生理由 プランの移転のために生じる需要が、日本経済全体に大きな波及効果をもたらすためです。資料をあげます。

(下野新聞1997年1月21日付け、「新首都を考える」より)野村総合研究所は「用地費を除く9兆円で発生する経済効果は25兆6千億円」と試算。雇用者所得が6兆8千億円、延べ176万人分の雇用機会が生まれる。年1兆円の投資を続けると、9年でGDP(国内総生産)を年間最大0.38%引き上げる効果がある、という。新都市は新技術の見本都市にもなる。同研究所はエネルギー、リサイクル、環境保全などの新分野で移転先に2、3兆円の市場ができる、とも推計。(引用終了)重要性 日本経済が不況に直面している現在、その活性化をはかれることは国民の経済生活にとって大きなメリットです。

▼メリット3 東京の過密化が解消される

発生理由(1) プランにより、30万人の人口が新首都へ移転するとともに、サブプラン(3)により、移転跡地は都市公園となるわけですから、その分の過密が解消されます。

発生理由(2) 30万人分の過密解消が社会的に大きな緩和効果を生むからです。資料をあげます。

(国会等移転調査会報告88ページより)しかし、道路交通量のわずかな減少が渋滞の長さ、時間に大きな緩和効果をもたらすことが知られているように、わずかな分散でも、大きな過密緩和効果が生じる可能性があることに留意する必要がある。(引用終了)発生理由(3) 東京から首都機能が移ったことによる中・長期的な社会的・心理的な過密解消を生むためです。資料をあげます。

(同資料同ページより)さらに、中・長期的にみるとき、首都機能の移転は、東京から立法・行政・司法の中枢機関を移すことにより、社会的・心理的な面も含めた人口と諸機能の「集中が集中を呼ぶメカニズム」を打破し、将来の新たな東京一極集中問題の発生の回避と中長期的な東京の過密の緩和をはかるとともに、都市環境を改善する契機をつくることに大きな意義がある。(引用終了)重要性 住宅事情やゴミ問題、通勤ラッシュなど、過密化によって様々な都市問題が発生している現在、その解消がはかれることは都市問題の解決のために大きなメリットです。

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