上野でチャイナ女子に「爆弾」を飲まされて貯金全額を失った思い出

危険ドラッグの話題が出ていたので、ちょっとその辺の思い出話を。

私は以前は秋葉原の中でも外神田六丁目に住んでいた。 湯島や上野が近い。上野広小路に大きな歓楽街があって、寂しがり屋な私はよく飲みに行っていた。 そんな飲み帰りのお話。

ほろ酔いの私は上野広小路をとぼとぼ歩いていたら、中国人っぽい女の子から声を掛けられた。20代前半くらいの地味目の子。もちろんチャイナドレスとかじゃなくてジャンパーを着ていた。

「お兄さん、一緒に飲まない?」

さっき飲み屋でお金を使ったばかりでちょっと残金が心配だったけど、少し酔っていたし、飲みに行くくらいなら良いかなと思って、「いいよ」と答えてしまった。渋谷の道玄坂や錦糸町でよくある「お兄さん、マッサージにいかない?」の客引きだったら断っていただろうな。

「嬉しい!知り合いのやっているお店があるから、そこで飲もう!」という話になって、一緒にそのお店まで向かった。途中で知り合いっぽい同じ中国人の女の子が合流して、いつの間にか人数が増えていた。私は一抹の不安を感じたけれど、飲んですぐ帰ればそんなにボラれないで済むだろうと思っていた。

(夜の上野広小路)

案内されたお店は、広小路の裏路地の裏路地にあって、「本当に飲み屋?」という感じのお店だった。お店の中は真っ暗で、厨房と少しばかりのテーブル席があって、別な中国人の女の子が雑魚寝していた。お客は私1人だけだった。雑魚寝していた女の子を起こして、4人で飲もうという話になった。30代くらいのママが厨房でお酒をつくっていて、その間に3人の女の子が私に色々話を振ってきてくれた。

ママがチューハイのようなお酒の入ったグラスを4人分持ってきてくれて、「乾杯!」と4人で飲んだ。少し飲んだら帰ろうと思っていた。それから少し飲んで…

あれれ?他の3人は平気なのに、私だけ何だかすごく気分が良くなった。私はけっこうお酒は強いほうでスピリタス(アルコール96%)とかもストレートで飲めたりするんだけど、何か全然酔い具合が違う。猛烈にハイテンションになって、普段は寡黙な男なのに3人を相手に盛り上がって沢山話し始めた記憶がある。

………

気がついたら、上野広小路の路上で寝ていた。朝になっていた。

私は何とか昨日の記憶を少し思い出して、会計を無事に済ませたのか心配になって、財布を取り出した。「あれ?お札が全部ない!」 どうやらお店で全部払ったのか盗られてしまったようだ。まぁ、こういう経験は何度かあるし、仕方ないかと思って、コンビニに寄ってATMでお金を引き落とそうとした。

ATMで残高照会をして衝撃を受けた。数百円しか残高がない!溜め込んでいた貯金が全額消えていた。

私は何とか昨日の記憶を思い出そうとした。そういえば、何の経緯か忘れたけど、ママと一緒にコンビニのATMまで行ったような覚えがある。ママが私に何かお願いされて上機嫌でお金を引き落としたような、そうでなかったような…。財布のカード類は無事だったけど、急いでカード会社に電話して不正な利用がなかったかを確認した。

危機感を感じた私は、上野警察署に相談に行った。受付で応対してくれた刑事にいきさつを話したら、「それは『爆弾』を飲まされた可能性が高いですね。いま上野では、薬を特定の客の酒に入れて上機嫌にさせて客に高額なお金を請求する手口が流行っているんです」と言われて、上の階の「組織犯罪対策課」に相談に行くように言われた。

組織犯罪対策課は、本当に刑事ドラマに出てきそうな殺伐とした部屋で、大男の強面の刑事の方が呼ばれた。ヤクザの親分のようなドスの利いた顔だった。私は取調室のような個室に案内されて、そこでその刑事に事情を話した。

私「昨日の記憶が全然ないんです」

刑「でしょうね」

私「貯金も全額引き落とされていて…」

刑「それは、さいとうさんが引き落としたんですか?」

私「それも憶えていないんです。お店のママが引き落としたのかもしれません」

刑「引っかかったんでしょうね。上野ではそういう『爆弾』を使った悪質な犯行が増えているんですよ」

私「何とかお金を取り戻せないでしょうか?」

刑「店の場所は憶えていますか?」

私「それも憶えていません…」

刑「警察は物証があれば動けます。一応被害届として今回の話を受けることも可能です」

私「それで探してお金が返ってくる見込みはあるのでしょうか?」

刑「それは何とも言えません」

私「そうですか…」

刑「だからといって、絶対に個人で犯人探しはしないでください。危険すぎます」

私「わかりました…」

刑「ちなみに、その客引きっていうのはどんな人物だったんですか?」

私「中国系っぽい女の人で…」

刑「ちょっと、さいとうさん!しっかりしてくださいよ!安易に中国系の客引きに付いて行かないでください!」

私「すみません…本当にすみません…」

刑「私達がいくら取り締まっても、客引きについて行く人がいたら、この手の犯行は根絶できないんですよ。わかりますか!?」

と、取調室で1時間くらい強面の刑事さんからお説教を受けた。一緒に話を聞いていた彼女(現在の妻)も、「中国系の女の人」という話題が出た瞬間に「さいとうくん、それは…」と刑事さんと一緒に私にたっぷりお叱りの言葉をもらった。

後日、警察から上野広小路の近辺のコンビニの防犯ビデオカメラの映像を調べたという連絡があった。「さいとうさんが現金を落としている姿は確認できたのですが、それ以外の人物は映っていないですね」とのこと。なんでママが映ってないんや…。私は泣く泣く貯金全額を失うという事態を受け入れざるを得なかった。

給料日までまだ日があったので、彼女や会社の人が心配してコメとか缶詰とかを持ってきてくれた。それで給料日まで何とか生き続けられた感じ。闇金ウシジマくんの世界の一歩手前でした。

「中国系の客引き」「薬」「爆弾」、怖い。上野広小路で遊ぶのはもう二度とやめました。