ホテル・ミラコスタとサイバーエージェントの関係

米国防総省の国家安全保障局によるGoogle Hack

WIRED Japanで、「諜報機関NSAによる「Googleで秘密情報を探すマニュアル」」という記事が出ていました。アメリカ国防総省の諜報組織・国家安全保障局が市民団体の公開請求に応じて、WEBを使ったリサーチ方法に関するガイドを公開したという記事で、以下のような記述がありました。

例えば、あなたがNSAのサイバースパイで、南アフリカの企業に関する秘密内部情報を求めているとしたらどうするだろうか?
この本によると、Google検索に「filetype:xls site:za confidential」と入力すれば、この企業が不注意でオンラインに公開している秘密のExcelスプレッドシートを探し出すという。

確かに、filytype:xlsやfiletype:pptやfiletype:pdfなどに「パスワード」などの検索語をいくつか付けると、不用意に公開されているパスワード記載のオフィスのドキュメントファイルが検索でヒットすることがあるという話は過去にも聞いたことがあって、この話自体は目新しい手口ではないのですが、日本の企業でも通用するのかなと思ってちょっと検索してみました。

日本のWEB関連のConfidentialな資料のヒット状況

filetype:xls 機密情報」などで検索しても、機密情報保護に関する一般的なテンプレートがヒットするだけでノイズが多すぎました。

filetype:pdf confidential facebook」で検索したら、facebookマーケティングでバズマーケティングを行なっている企業の提案資料がゴロゴロ出てきました。「24時間監視 炎上防止」とかを謳っている資料などもあって、facebookで評判を操作しようとしている姿が微笑ましいですね。

filetype:pdf confidential 信用」などで検索すると、依頼を受けて対象企業の信用調査を行なっている企業の内部資料などが大量にヒットしました。「極秘」と書かれているものもありますが、しっかりGoogleにインデックスされていますね。最近ニュースなどでよく話題になる「個人情報が書かれた資料がネット上で外部から閲覧できる状態になっており」とかっていう状況は、こんな感じでURLが特定されてしまっていたのかもしれません。

filetype:pdf confidential “2ちゃんねる”」で検索すると、2ちゃんねるや主要ブログポータルのリアルタイム監視が可能な凸版印刷の資料がヒットしました。

ホテル・ミラコスタとサイバーエージェント

興味深かったのが、「filetype:ppt confidential サイバーエージェント」で検索した時に出てきた、株式会社サイバーエージェントの提案資料です。

こちらは、資料の宛先が「株式会社ミリアルホテルズ様御中」 になっています。株式会社ミリアルホテルズは聞き慣れない会社名かと思いますが、東京ディズニーリゾートで、東京ディズニーホテルや東京ディズニーシー・ホテルミラコスタなどを運営する会社です。そちらに、以下の提案を行なっています。

タレントアサイン費(記事マッチ、ホテル体験稼動込み×10人)
ブログムック(制作費、12週間ランニング込み)
ポチくまバナー(クリエイティブ、配信込み)
Buzz sticker利用料
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合計                        ¥8,000,000

合計800万円のプロモーション提案なのですが、その中でも興味深いのが、「タレントアサイン費」が入っていることです。ここでいうタレントとは、アメブロ集客の大きな要因になった芸能人などの著名人ブログのタレントと思われます。そのタレント10人分の記事執筆費用が入っています。いわゆる提灯記事ですね。著名人ブログでタレントが提灯記事を書いて、バナーの配信などもセットになってこの価格という構成になっています。3年前の提案資料なので、現在もこういうビジネスが行われているかはここからは伺い知ることができませんが、2009年の段階でサイバーエージェントがタレントを使ってステマ記事を書かせていたことを窺い知れる資料なのかなと思います。

そして、株式会社ミリアルホテルズにこの資料を送っていると。この資料のタイトルが「2010年1~3月期における Webプロモーションのご提案」となっているので、新規提案の資料とは考えにくく、この期間のプロモーション内容や金額の変更に関する提案なのかなと。この時期にアメブロで、ホテル・ミラコスタなどについて書いた芸能人がいたりしたら、それはステマ記事の可能性があります。

サイバーエージェントのコーポレートサイトではなくて、ファイル共有サービスの中にこの資料が入っているようですが、担当営業がファイル共有サービスに提案資料をおいて、そのまま消し忘れているのかもしれません。けっこう内部資料だと思うので、この営業の方が退職されていないようでしたら、ファイル共有サービスのパスワードを思い出して消しておいたほうが良いかもしれません。ちなみに、サイバーエージェントの現在の広告費は検索ですぐヒットして、こちらで閲覧できます。これも顧客向け資料かと思われます。

Google様に掛かるとConfidentialな情報も筒抜けでヒットしてしまうので、注意が必要ですね。

私達のWEBのクチコミは操作されている

食べログのステマ騒動の時に思ったことですが、食べログのステマ記事というのは氷山の一角に過ぎません。私達がネットで読む記事は実に様々な広告で満ちています。

filetype:pdf confidential ステルスマーケティング」で検索すると、ご丁寧に「ステルスマーケティングと誤解されないクリーンな実施方法」について提案された記事がヒットします。ネットでの印象操作を行なっているマーケティング企業は無数に存在します。それを正しく見分けるサバイバル力が必要なのかもしれません。Googleでゴロゴロ出てきたconfidentialな資料は私達のWEBが置かれている状況を雄弁に物語っています。

と、あと、企業側はconfidentialな内部情報が書かれたファイルはGoogleにインデックスされないように注意したほうがいいかと。