『ミッテラン仏政権下の核政策』を読む

フランスの核抑止戦略

(1)「独自の核による抑止」に依存した国家安全保障
・死活的に重要な利益の防衛(仏本土、周辺地域、第三世界)
・国家独立の確保(核保有国としての決定権、行動の自由)
(2)「不戦」と「小国の大国に対する抑止」(大量報復、都市攻撃)

ミッテラン社会党政権下の核政策

社会党(社会民主主義政党)は反戦、平和主義
しかし野党時代、反核から核容認へ転換
(1)新冷戦の時代
・海外情勢:東西陣営の緊張、軍拡
↓ソ連の軍事的脅威の増大
フランス:核抑止の信用維持の必要性
・核関連兵器の開発、西欧の共同防衛としての核の位置づけ
(2)東西緊張緩和の時代
・海外情勢:ゴルバチョフによる政策転換
↓デタント
フランス:基本戦略は変わらず、戦術核兵力の増強を打ち出す
(3)冷戦終結以降の時代
・海外情勢:東欧、ソ連の崩壊
↓米ロの大規模軍縮
フランス:核実験凍結、ソ連に対する抑止という軍事的役割に区切り
・核実験全面禁止条約、核不拡散条約の無制限延長に賛同
・核兵器の近代化を遅れさせるという懸念が生じる

シラク大統領の核実験へ

まとめ

核兵器の断念が社会党の究極的な目標であっても、核保有という現実が存在し、核抑止が国民の半分以上の支持を得て、事実上、国家の政治的独立と国際的威信、国際社会でのフランスの発言権が守られている以上、信用性の高い核抑止の維持は常に必要とされている。