イギリス学派と国際関係学

イギリス学派とは何か

戦後のロンドン大学を中心に形成された国際政治学の一派。国際社会を概念の中心に議論を展開したのは、M.ワイトやC.A.Wマニング がはじめであり、その後H.ブル、F.S.ノーセッジ、英国キール大学のA.ジェイムズ、LSEのR.J.ヴィンセントなどに引き継がれた。イギリス学派のアプローチの特徴は、哲学の「全体論的」な立場にある。つまり、全体はその部分の機械的総和より大きな存在である。国際社会は、それを構成している主権国家などの<部分>よりは大きな、何か独自の論理構造をもつ社会であるとみる。

そうした構造として、論者によって重点は異なるが、国際慣習法・戦争法・中立法・不干渉原則・主権(各国の国内法体系が他国の法体系から独立していること)・勢力均衡・外交慣行などが重視される。それらは、数々の政府の変革にもかかわらず、国家そのものの生命をもこえて存続してきた。国際社会の部分たる主権国家の行動も、国際社会として統合させられている国際慣 習法やその他一切の社会規範・制度との関連性を無視しては理解できない。広い意味での規範の体系を、そもそもの社会の成立に不可欠な構成要素・無意識的に 遵守している構造としてその時とその時代における意味を明らかにしていこうとする考え方は、ポール・リクールの構造主義的解釈学と考え方が一致している。

その他にも、彼らは、国際社会を国内社会とは別個の、国内類推に依拠する必要のない「秩序」であることを国際関係史から論証しようとする。また、平和学とか 永久平和構想といった、争いを生じさせやすい価値を目的とするユートピア論には批判的である。さらに、国際事情の大きな問題の理解については、数量分析・ 行動科学的アプローチを疑問視する。

国内類推とは何か

国内類推とは、「国内現象と国際現象には類似性が存在する。特に国内秩序の諸条件は国際秩序とよく似ている。ゆえに、国内的秩序を維持している諸々の制度を国際社会レベ ルでも実現するべきである」とする考え方のこと。この点については国際政治学の中でも様々な論争があるが、特にイギリス学派が国内類推に対して批判的な立場を取っている。

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