離婚とは

離婚の現況

離婚とは、夫婦関係の法的な解消を指します。結婚が婚姻届という法的手続きで成立するのと同様に、離婚も離婚届が提出・受理されてはじめて成立します。事実上、結婚生活が存在せず、夫婦関係が解消されていても、法的手続きが完了していなければ離婚とは見なされません。

総理府広報室の調査によると、「結婚しても相手に満足できないときは離婚すればよい」という考え方に賛成する人は、1972年には男女共に約20%でしたが、1997年には約55%と過半数に達しました。欧米と比較するとまだこの離婚許容率は低いと言えますが、結婚が個人の幸福追求手段であるという意識は徐々に強まっています。

年次別の離婚率(人口千人あたりの離婚件数)は、1963年には0.73まで減少しましたが、その後はほぼ一貫して増加を続け、1998年には1.94に達しました。この指標は人口の年齢構造、初婚発生数などの影響を含んでいるため注意が必要ですが、50歳時の離婚経験者の割合は、1950年代後半のコーホート(同年出生の人口集団)で20%に達すると考えられます(つまり夫婦の5組に1組が離婚をする割合になっています)。ただ、この離婚の程度は、ヨーロッパ諸国の30-40%、アメリカ、スウェーデンの50%などに比べると依然として低いと言えます。結婚年代別では、1980年代後半から同居期間の長い夫婦で増え続け、その後すべての夫婦で増加しています。再婚も1970年代半ばから増加傾向にあり、1980年代後半からは全結婚件数の約2割が再婚となっています。

離婚はなぜ増加したのでしょうか。離婚が増加した社会的背景についての仮説には様々なものがありますが、代表的なものとして、以下の理由が指摘されています。

    1. 産業化の進展による頻繁な職場移動や夫の単身赴任・長期出張などによって、家族の共同生活が阻害されている。
    2. 職場と家庭が分離し、その距離が拡大する傾向にあるため、夫婦が共にいる時間が減少し、夫婦の相互理解が困難になっている。
    3. 妻の家庭外就労の増加が、女性の自立意識を高め、離婚後の生活不安を解消し、従来のような忍耐生活を拒否させるようになっている。
    4. 都市化の進展による地域社会の連帯の崩壊が、家族の孤立化をもたらし、家族危機に対する対応力を弱めている。
    5. 情報化によってもたらされる価値観の多様化は、夫婦間の意見の相違を生み、その結合を弱らせる。離婚情報の普及が「バスに乗り遅れるな」という心理を生み出す。
    6. 夫婦間に対立や葛藤が生じた場合、小家族化のため両者の間に立つ調停役や緩衝的役割を果たすものがなく、正面衝突となりやすい。
    7. 恋愛結婚は愛情にウェイトをかけすぎて、生活を共にすることの重要性を忘れやすい。また社会的文化的類似性を無視した結婚や、恋愛判断の誤りも生じやすく、夫婦関係を不安定なものにする。
    8. 個人主義の原理が支配的となり、個人の自己実現を阻む結婚生活は、解消されるのが当然と考えられるようになった。特に女性において離婚は常にマイナスとは限らなくなった。

日本の離婚手続きには、当事者夫婦の同意による協議離婚、家庭裁判所の調停・審判による調停離婚・審判離婚、離婚訴訟による判決離婚の4種類があります。このうち、審判離婚と判決離婚を合わせて裁判離婚と呼ぶこともあります。全離婚のうち90%は協議離婚であり、9%が調停離婚、1%が判決離婚となっています。

協議離婚は当事者夫婦の話し合いによって解決されるため、その実態の把握は困難ですが、旧厚生省が1968年と1978年に行った「人口動態社会経済面調査(離婚)」において、「協議離婚の理由」についての全国的な調査が行われています。その調査では夫と妻の離婚の理由として、以下のような統計結果が出ています。

 夫と妻の離婚の理由
 人口動態社会経済面調査(離婚)
 
1968
1978
1968
1978
 異性問題
22.7
27.5
20.5
19.5
 経済問題
20.6
14.2
27.8
26.4
 性格がいやになった
24.9
31.2
24.8
25.1
 その他
31.9
27.2
26.8
29.0

家庭裁判所に持ち込まれたケースでは、離婚動機の内訳はどうなっているのでしょうか。家庭裁判所へ持ち込まれたケースについての統計調査をまとめたものが以下の表です。家庭裁判所へ持ち込まれた離婚の場合、協議離婚とは異なり、経済問題はあまり争点になっていないようです。一方、「性格」「暴力」「飲酒」「同居」などの申立については、夫と妻の申立の差が顕著であることが分かります。

 家庭裁判所への夫婦関係事件の申立動機
 『司法統計』 1995 最高裁判所事務総局(申立は1件につき3つまで記入されるので合計は100にならない)
 
夫の申立
妻の申立
 性格が合わない
63.8
46.2
 異性関係
20.7
30.5
 暴力を振るう
3.0
31.0
 酒を飲みすぎる
2.1
12.4
 性的不満
12.0
6.1
 浪費する
13.3
16.1
 異常性格
13.3
8.9
 病気
3.1
1.6
 精神的虐待
11.5
10.7
 家庭を捨てて省みない
10.9
17.6
 家族・親族と折合が悪い
21.3
12.8
 同居に応じない
14.3
4.1
 生活費を渡さない
1.2
23.0
 その他・不詳
4.3
2.1

離婚が子供に与える影響

離婚は子供にどのような影響を及ぼすのでしょうか。この点を研究したジュディス・ウォーラースタインとジュリアン・ケリーは、カリフォルニア州アマン郡の最近離婚したばかりの夫婦60組の子供を研究しました。二人によると、調査対象となった131人の子供のほとんどすべてが、離婚時に激しい情緒不安を経験していたそうです。学齢期の子供は狼狽し、自分のせいで両親が別れることになったと考えがちでした。年長になるほど両親が離婚する動機を理解するようになりますが、両親の離婚が自分の将来に及ぼす影響について深刻に悩み、多くの場合激しい怒りの感情を表しました。しかし、5年を経過すると、子供達の三分の二は、自分の家庭生活や外の世界との関わりに対して、少なくとも程々にはうまく対処していることが明らかとなりました。しかし、残りの三分の一は、相変わらず自分の生活に不満を持ち、一緒に暮らしている親の再婚の事情にすら、憂鬱や孤独感に陥りやすかったと指摘されています。

しかし、離婚が子供に与える影響に関しては、実証研究の困難さが指摘されています。例えば、離婚時に子供が見せる激しい情緒不安も、あるいは離婚前の両親間対立で下地ができあがっていたのかもしれないし、離婚することが直接子供に悪影響を及ぼすかというと、今までの両親間対立から解放されたりするなど、必ずしもマイナスではない場合も多いからです(もちろん子供の心に深刻な影を落とす場合もあります。ただ、全体的な傾向は慎重にみていく必要があるということです)。

むしろ近年の離婚の大きな要因となってきた両親間暴力や両親による子供への暴力が継続することの方が、子供の心理面・行動面に好ましくない影響を与えることが指摘されています。右の表は、ウォルフェらの研究による「夫婦間暴力と子供の問題行動の関係」をまとめたものです。目撃している親どうしの身体的暴力の頻度や程度が激しいほど、子供の問題行動得点が高いというデータが出ています。一方、ローゼンバウムらによると、対配偶者暴力夫には生育過程で親の世代の夫婦間暴力を目撃した者が多く、その大半は親からの虐待を経験していることが明らかとなりました。親によって行使される暴力は、子の暴力過程や子の暴力肯定観の形成や、攻撃衝動コントロールの未熟さを通して、子供の数々の行為衝動をもたらす可能性が大きいと言われています。

夫婦間暴力と子供の問題行動の関係
問題行動の程度 夫婦間暴力家庭 夫婦間暴力がない家庭
人数 割合(%) 人数 割合(%)
男女計



27
3243

26.5
31.442.2

47
3019

49.0
31.319.8
男子
低中


11
1826

20.0
32.747.3

2313

7


53.5
30.216.3
女子


16
1417

34.0
29.836.2

24
1712

45.3
32.122.6

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