『タテ社会の人間関係』を読む

第2章:「場」による集団の特性

1.集団の構成要因

1.資格……社会的個人の一定の属性

2.場………一定の枠によって一定の個人が集団を構成する状態

・資格と場の機能は、その社会の人々の社会認識における価値観に密接な相関関係を持つ(例:日本の社会構造←→インド・カースト)

2.日本では資格よりも場が優先される

例:会社は契約関係にある企業体ではなく、

我々の会社である(主体化された認識)

「イエ」(家)の概念に代表される

「イエ」(家)とは……居住、そして経営体という枠で構成される社会集団。

家集団内における人間関係は他より優先する

3.枠による社会集団は資格を異にするものを内包する

・資格が異なる人々によって構成される集団

→集団内結束力を導き出す何らかの方法の必要性

・理論的、経験的2つの方法

(1)枠内の成員に一体感を持たせる働きかけ

(2)集団内の個々人を結ぶ内部組織の生成、強化

(1)は、集団維持のため、個人の行動のみならず、思想、考え方まで集団の力が入り込んでくる→社会生活と私生活の区別がつかなくなる(例:家族ぐるみの雇用関係)

4.枠の強化、集団の孤立化

・他の枠の同一資格者間に溝、同枠の異資格者に親近感

→「ウチの者」「ヨソ者」の差別意識の表出

5.「ウチの者」「ヨソ者」の特徴

(1)「ウチの者」以外は人間にあらず=ヨソ者どうしの非社交性

(2)集団従属による社会的安定=社交の機能的存在価値の欠如

→「田舎っぺ」(ローカルな)傾向へ

6.人間関係のローカル性は直接接触的であることに結びつく

・集団意識の情的高揚→接触を長期間、激しく保つ必要性

・「去る者は日々に疎し」の人間関係の形成

・海外のコミュニティ……インテリ集団にもかかわらず、日本農村のような日本的特殊性

→海外で浮き上がっている……日本人は構造的に異質

・異質性の原因……日本の社会集団は個人に全面参加を要求する

2つ以上の集団に同様のウエイトを持つことは不可能

(西欧人や中国人は複線所属的保身術、日本人は単線潔癖主義)

7.なぜ単線的なのか?

・場によって個人が所属する場合、現実的に個人は1つの集団にしか所属できない

・「単一社会」……個人の集団帰属、個人と集団を結ぶ関係、全社会での集団のあり方や相互関係が、いずれも一方的である

第4章:「タテ」機能による全体像の構成

1.対立ではなく並立の関係

・日本社会の全体像……横断的な層化ではなく縦断的な層化

・日本の闘争関係……労資対立というよりもA社対B社

→闘争は対立するものとではなく並立するものとの間に生じる

(例:労働組合の構成→「お家の問題」としての限界性)

2.人間平等主義

・日本的イデオロギーの底にあるもの……人間平等主義

→西欧の伝統的な民主主義とは質的に異なる

人間の能力差が認められない→「貧乏人は麦を食え」のタブー化

・人間平等主義の長所……能力、階級にかかわらず、個々人に自信を持たせ、努力を惜しまず続けさせることが出来る

(「タテ」のリンクが上昇へのはしごを提供する)

・学閥による序列システム……刻苦勉励型が出世するという社会的イメージ

3.過当競争による弊害

・下層にとどまる人々の心理的負担とみじめさ

・同類を敵とする社会システム

→「格付け」の形成。集団の孤立性、封鎖性を招く

・日本の工業化にも寄与したが、不当なエネルギー消費の面が大きい

4.ワン・セット構成と政治組織の発達

・日本の組織……分業ではなくワン・セット主義による過当競争

・より大きな統合組織の必要性……中央集権的行政機構の発達

→世界に比類のない徹底した行政網が全人口に浸透

・政治権力の巨大化と国民の恐怖感

→日本人の宗教、哲学の貧困と相まって、政治優先の社会を形成

第6章:リーダーと集団の関係

1.制約されるリーダーシップ

(1)成員管理はリーダー直属の部下が行い、リーダーは調整的立場

(2)「温情主義」による情的関係によって、上も下も拘束される

→リーダーの権限の低下、セクシャリズムや派閥の伸長・日本で脚光を浴びるリーダーは、個人の力というよりは、集団を中心とした内外の条件に支えられている

→リーダーは集団の一部にすぎない

2.権威主義と平等主義の力関係

↓   ↓   ↓
↓   ↓日  ↓
↓西  ↑本  ↓権
↓欧  ↑的  ↓威
-的  ↑民  ↓主
↑協  ↑主  ↓義
↑調  ↑主  ↓
↑   ↑義  ↑
↑   ↑   ↑

(リーダーと集団成員の力関係)

・戦前は権威主義がしばしば見られ、戦後は民主主義

→いずれも両者の約束による接点が設定されていないため、弊害が相当にある

ルールが設定されていない

4.リーダーの資格

・リーダーは天才でない方がよい……下の者の存在理由維持のため

・年長者であること……「タテ」のリーダーは集団への参加が最もはやかった者がなる(頂点である)

・組織の頂点にあることが絶対の条件に

下の者はとりあえず頂点をたてる以外にない

→しかし、タテ関係の強固な密着が自由な活動の場を提供している

・集団の機能力は、ともすれば親分自身の能力によるものよりも、むしろすぐれた能力を持つ子分を人格的にひきつけ、いかに集団を統合し、その全能力を発揮させるかというところにある

→大石内蔵助的なイメージ

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