「パナマ文書」にJALや電通が載っているという情報はデマ

パナマ文書に載っていると指摘された日本企業リスト

「パナマ文書」がネット上で盛り上がっている。タックス・ヘイブンで租税逃れをしている企業や個人のデータ(2.7テラバイト)がパナマの法律事務所から流出して、アイスランドでは既に政変も起きている。

しかし、日本では報道の扱いは小さい。パナマ文書には電通や大手スポンサー企業も載っているから、日本のマスコミはパナマ文書を大きく報道しないし、日本政府も調査しないことになったという話が広がっている。

その企業リストとは以下の通り。

パナマ文書もといオフショア・リークスより日本の企業を抜粋してまとめてみた。太文字は上場企業。 pic.twitter.com/f27nPgs8Le
— maisonkayser.bot (@rockhound_) April 6, 2016

でも、この企業リストはほとんどが三次情報で、二次情報の出所を辿ると2ちゃんねるに行き着く。

50: 膝十字固め@\(^o^)/2016/04/06(水) 13:31:52.56id:P5weWMyc0.net
28 名無しさん@1周年 age 2016/04/06(水) 12:43:45.97 id:n7Tbpqo30

63
昨日嫌儲でここまで割れた
電通、JAL、オリックス、バンダイ、ドワンゴ、大日本印刷、ダイソー、セコム、 楽天、東京海上、丸紅、日本製紙、ソニー、ユニクロ、日本郵船、やずや、大和証券、ドリームインキュベータ、ジャフコ、石油資源開発、三菱商事、商船三井、双日
アグネス ・チャン(未確定)
林芳正の父親・林義郎 (未確定)
東宣の代表取締役会長・内藤一彦、代表取締役社長・内藤俊彦 (268415- 笛吹市境川町)http://www.tohoku-epco.co.jp/news/atom/topics/__icsFiles/afieldfile/2014/07/14/201407_1187717.pdf
女川原子力発電所所長 ・八重樫武良

421 名無しさん@1周年 2016/04/06(水) 12:34:02.53 id:MvdhlA5S0
2012年の税収が45兆円で、今回の流出で判明した2012年の租税回避額が55兆円だった
つまり、本来払われるべき税金がきちんと払われていれば、消費税はおろかその他の税金すらいらなかったってこと
企業だけじゃなくて政治家や官僚などの個人もやっていて、一般国民から吸い上げた金はすべて海外に流れていた
その間にマスコミを使って、社会保障問題だとか国の借金だとかでさんざん煽られてたってわけだ
そして脱法的とはいえ一応合法だから、道義的責任でしか追及できない
これが問題に思えないのはちょっと異常

それで、2ちゃんねるの情報源を更に辿ると、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)のオフショアリークスのデータベース情報とほぼ一致する。

offshoreleaks.icij.org

(オフショアリークスのデータベースで日本のクライアント企業を検索した結果)

offshoreleaks.icij.org

(オフショアリークスのデータはCSVでダウンロードできる。容量は14.4MB)

パナマ文書とオフショアリークス(2013年)の情報は別物

「パナマ文書」を入手して解析しているのは国際調査報道ジャーナリスト連合で間違いないけど、オフショアリークスのデータベースに載っているものは2013年に発覚したもので、今回のパナマ文書の対象ではない。

パナマ文書の最新情報に関しては、国際調査報道ジャーナリスト連合の特設ページの情報しか現段階では公開されていない。

パナマ文書の特設ページ

朝日新聞の奥山氏

国際調査報道ジャーナリスト連合のパナマ文書プロジェクトチームには日本では4人のジャーナリストが入っていて、この中には朝日新聞の奥山氏がいる。彼ら4人はパナマ文書の一次情報(2.7テラバイトの契約情報)にアクセスできていると思われる。

Yasuomi Sawa (Japan)
Toshihiro Okuyama (Japan)
Scilla Alecci (Japan)
Alessia Cerantola (Japan)

(国際調査ジャーナリスト連合のプロジェクトメンバー一覧)

奥山氏が編集した記事によると日本人400人の名前は確認できたが、政治家などの公職にあるものの名前は確認できていないとのこと。現時点でパナマ文書で判明している企業はセコムなど。

www.asahi.com

納税者は怒りの声を上げるべきだけど、パナマ文書の調査とは別物

2013年にオフショアリークスが発覚した段階で、我々日本の納税者は怒りの声を上げるべきだった。税金で救済されたJALが租税回避を行っていたことも問題だし、電通が2013年に報道の矛先を狂わせていたのかもしれない。

しかし、これらの企業がパナマ文書に載っていることは確認できていない。パナマ文書にこれらの企業が載っているとする現時点の情報はデマと判断して良いだろう。

デマを信じてパナマ文書の徹底調査を日本政府に求めたり電通がパナマ文書を大きく報道しないように介入しているとするのは正しくない。

我々納税者の怒りの対象は2013年に既に公開されていた。それも日本では大きく報道されない形で。そういうメディア操作にも怒るべきだし、パナマ文書に関しては続報を待つべきだろう。国際報道ジャーナリスト連合のメールマガジンも登録できる。

これを指摘している人もいたけど、あんまり注目されてないみたい。

パナマ文書とオフショアリークスは別物だぞ?お前ら騙されてね?

anond.hatelabo.jp

追記

奥山氏と同じくICIJに参加している共同通信の澤記者もこの記事を拡散してくださっていました。

広く拡散している「パナマ文書の日本企業リスト」に関する指摘→
「パナマ文書」にJALや電通が載っているという情報はデマ https://t.co/QeDNLJZ2uY
— Yasuomi SAWA 澤康臣 (@yasuomisawa) 2016年4月10日