SEO今昔物語 ーSEO黎明期〜銀の弾丸がなくなるまでー

GMOソリューションパトナー株式会社からSEOの営業電話が掛かってきたよ!

先週は鬱で沈んでいたのですが、会社に掛かってきた電話だけは取るようにしていました(Skype経由で受信しています)。会社に掛かってくる電話ってほとんどが営業電話なのですが。

そんな感じで先週はGMOソリューションパートナー株式会社から電話が掛かってきました。

内容はSEOの営業電話。ちょっと会話した内容を思い出して書いてみる。

電話の内容(テレアポの人と)

G
「わたくしGMOソリューションパートナーの○○と申します。恐れ入りますが齊藤代表はいらっしゃいますでしょうか?」
「はい、私です」
G
「大変失礼いたしました。御社のホームページを拝見いたしましてお電話いたしました。いま少々お時間の方よろしいでしょうか?」
(普段はここで「すみません、今忙しいのですので」と言って電話を終えるのですが、GMOグループは私の古巣なのでお話につきあうことにしました。)
「はい、大丈夫です」
G
「御社のホームページを拝見しまして、非常に多方面でのご実績があることからYahooやGoogleなどの検索エンジンでキーワードで検索したときの順位を上げることができるのではないかと思いお電話させて頂きました」
「SEO対策の提案でしょうか?」
G
「はい、そうです。SEO対策のご提案になります。SEO対策はご存じでいらっしゃいますか?」
「はい、知っています。今うちの会社でもクライアントからSEO対策の案件を受けています。あと以前の職場でもSEO対策を担当してきたので…」
(日本メディカルネットコミュニケーションズ、インフォバーン、オールアバウト、ライブドア(livedoor Clip)、フルスピードなどでSEO対策をやっていたのと、受託開発でSEO対策は割と依頼されているので)
G
「左様でございますか。それではSEO対策はかなりご存じでいらっしゃるのですね。実は弊社ではSEOを行っている会社からの委託も受けておりまして、SEO対策を自社で商材にしている企業様でもなかなか忙しくて自社サイトのSEO対策にまでは手が回っていない企業様が多くて弊社にアウトソースするケースが多数ございます」
「そうですね。私の会社もWebのシステム開発がメインでSEO対策は片手間で受けています。システム開発が忙しくて自社サイトのSEO対策までは手が回っていないですね」(鬱で更新をサボって放置していたのもあるけど)
G
「それでは弊社の方でSEO対策をアウトソースされる余地があるのですね。齊藤様はGMOインターネットという会社はご存じでいらっしゃいますか?」
「はい、知っています。以前、GMOグループに勤めていました」
G
「GMOグループにお勤めだったのですか!それではGMOのこともご存じでいらっしゃるのですね。ちなみにグループのどの会社にお勤めだったのでしょうか?」
「レンタル掲示板のティーカップ・コミュニケーションですね。GMOに買収されて、セルリアンタワーの9階に勤めていました。私が退職したあとにティーカップはGMOメディアに吸収されたので、今はGMOメディアになるかと思います」
(当時のGMOグループはJ-WORDをひたすら売っていたけど。GMOの東証一部上場記念パーティーは豪華だった。熊谷会長の前でプレゼンしたこともあるよ。あと、テレアポの過酷さもけっこう知っている)
G
「そうだったのですか!GMOメディアなのですね。私どもはいまセルリアンタワーの6階にいまして、そちらからお電話させて頂いております」
「セルリアンタワーの6階ですか。私のいた頃はセルリアンタワーの6階はGoogleのオフィスだったのですが、Googleが六本木ヒルズに移転した後はGMOなのですね」
(テレアポの人とGMO談義に花を咲かせていたのですが、その後に「営業の担当から詳しくご説明させて頂きます」とソリューション営業の人に代わりました。この辺もSEOのテレアポとしては予想通り)

電話の内容(営業担当の人と)

G
「先ほどお電話でお話しさせて頂いた○○よりお話を伺いました。以前GMOグループにお勤めで現在SEO対策も受けていらっしゃるのですね。それではかなりお詳しいとは思いますが」
「一通りの知識は持っていますが、ペンギンアップデート、ランクブレイン、コアランキングアルゴリズムの変化などで、従来型の内部対策や外部対策という括りや、銀の弾丸になるようなトリッキーな手法は効かなくなってきていますよね」
G
「そうなんですよ。いまGoogle対策はなかなか外部リンク獲得などの手法は効かなくなっております。そこで私どもが提供しているのが、コンテンツSEOと呼ばれるものなのですね」
「ライターに関連記事を書かせるとかでしょうか?」
G
「そうです。弊社で沖縄に事業所を持っていまして、そちらのスタッフが自然な形で企業様にあった記事をライティングを行っています。それを企業様のサイトに掲載して頂くことによって、Googleに自然なコンテンツだと認識されて、特定キーワードで順位を上げていく手法をお勧めしています」
「その沖縄の方々が書かれる文章というのはどれくらい専門性やクオリティが高いものなのでしょうか?」
G
「例えば、業種は違いますが例えばお客様ですと「○○肉 ○○」で検索して頂けますでしょうか」
(そのキーワードで検索すると、○○肉についての商品販売サイトが出てきた。その内部に、「肉の種類」など一般的な肉の解説ページが多数入っていた)
G
「もちろん、私どもはお肉屋さんではございませんので、沖縄で書かれる文章はお肉についての一般的な解説になります。ただ、これはGoogleに好まれる構成を意識した文章になっているのですね」
G
「なぜそのような事が可能かといいますと、ご存じのようにGMOは日本で最もドメインを保有している会社ですので、Googleのアルゴリズムのトレンドなどを瞬時に大量のデータから分析することが可能であるからなのですね」
(お名前.comやValueDomainなどで取得されたドメインを顧客の目的外でデータ解析用に利用しちゃっているのは今も変わっていないんだな…)
G
「GMOはドメインではNo.1を取れましたが、SEOの分野ではNo.1を取れていないのですね。それをNo.1にすることを目指しています」
「『スピリットベンチャー宣言』ですね。私もGMOグループにいた時によく唱和しました」
G
「はい、スピリットベンチャー宣言です。そのために特別価格を用意していまして、通常1キーワードあたりの対策って月数万円以上掛かるじゃないですか。それが数十キーワードとかになると月数百万円になりますよね。それを私どもでは特別価格として30キーワード対策を月5万円、年間トータルで60万円で提供することにしました」
「おお、それは安いですね」(とりあえず相槌を打っておく)
G
「もちろん60万円をすぐにお支払い出来ない企業様もあると思いますので、以前GMOグループにお勤めでしたらGMOペイメントゲートウェイはご存じでしょうか?」
「はい、よく知っています」(内部事情もけっこう知っているよw)
G
「GMOペイメントゲートウェイでクレジットカード決済を利用することで最大24回までの分割払いが可能なのですね。そうなると月2万ちょいのお支払いで30キーワード対策が行える形になります。また専用のWebコンサルタントをつけて、適宜サイトの改善をアドバイスいたします」
「なるほど、よく分かりました。自社でもSEO対策は受けているので、自社分をアウトソースするかということになると思います。ちょっと検討させて頂きます」

電話終了

ということで電話を終えて、

そっ閉じ…。|ω・`)

うちの会社の名前で適当なゴミ記事を量産されたら堪らんわ( ;´Д`)

特定キーワードで順位を上げるノウハウは自分も持っているので、顧客サイトだけじゃなくてコーポレートサイトにも時間のある時に対応しておこう。

その電話がきっかけでSEO今昔物語を思い出した。

SEO黎明期

今は昔、90年代のインターネット黎明期には色々なWebサイトが登場したけれど、それらをどうやって見つけるかが課題になっていた。

そこに登場したYahooはリンク集のようなサービスで、いくつかのカテゴリに分類されていて申請すると何のサイトでも個人サイトでも無審査で掲載された。Yahoo Japanが出来たときもしばらくは申請するとサイトは何でもカテゴリに登録できた。

しかし、Yahooに登録されるサイトが増えてくると、Yahooへの掲載は審査制になった。この審査基準がかなり厳しかった。また既存の掲載されているサイトもあまり質の高くないものや違法などの問題のあるものは掲載から外れていった。

特に日本では検索キーワードで探す人よりも、このYahooのカテゴリを辿って目的のサイトを見つける人が多いというデータが出ていた。日本人はキーワード検索よりもカテゴリ階層を辿っていく文化だと言われていた。

当時はGooやInfoseeekなどの検索エンジンもよく使われていた。GooやInfoseekはカテゴリが優先表示されるYahooよりもネットの全文検索に適していたけれど、その検索結果の順位はそのページに埋め込まれたキーワードの多さなどによって決定されていた。

そのため、背景色と同じ色のフォントカラーでキーワードをひたすら羅列するようなトリッキーな手法が流行った。それで実際に順位が上がったのだ。Yahooも検索結果が無いときはGooの結果を表示していた。

Googleは1998年頃に日本でも検索エンジン紹介サイトなどで「検索精度が高いと評判のGoogleが日本に上陸したら黒船になるか」と紹介されていた記憶がある。その時にGoogleにアクセスしてキーワードを入力してみたけど、日本語だと文字化けして使えなかった。まだ多言語対応する前だったのだ。

しかし2000年にYahooはGooとの提携を打ち切ってGoogleと提携する。Yahooの検索結果がカテゴリ検索とGoogle検索の結果が出るようになった。日本でもGoogleの存在が広く知られるようになって、その検索精度は驚異的であったが、Googleがどのようにして検索結果を決定しているのか知っている人は少なかった。

2ちゃんねるに「お前らのHP、googleのページランクいくつよ」のスレが立った

そんな状況に大きな変化が訪れる。2001年9月13日、2ちゃんねるのWeb制作板に「お前らのHP、googleのページランクいくつよ」というスレが立った。

当時2ちゃんねるを巡回していたのでこのスレが誕生したのを見ていたけど、まさにこの時から日本のSEOの歴史が本格的に始まったと思う。

誰もが「ページランクって何?」という状態だった。公開されたばかりのGoogleツールバーをIEに組み込むと訪問したサイトの「ページランク」というものがが表示されることに多くの人が驚き、これが検索順位の主要な決定要因になっていることに人々が気付くこととなった。私のサイトは当時6〜7だった。

ページランクはどのようにして決まるのか。多くの人が疑問に思った。この疑問はすぐに明らかとなって、より多くのサイトからリンクされているサイトはページランクが高い(特にページランクの高いサイトからリンクされるとそのサイトのページランクが上がる)ということに気付いた。引用数が多い論文が高く評価される仕組みをGoogleは順位決定要因として導入したのだった。

しかし、2001年頃にはこのことを知っている人はまだそれほど多くなかった。自分もこのページランクを使って順位を上げて、「職業安定所」で検索すると1位、「科学技術博物館」で検索すると1位になったりした。大量に検索流入があったけど、職業を探していた人には役に立たないコンテンツだったかもしれない。

メディカルネットでSEO

2003年に日本メディカルネットコミュニケーションズ株式会社というWebベンチャーに入社したのだけど、当時「からだネット」「インプラントネット」「矯正歯科ネット」「審美歯科ネット」という主に歯科の自由診療(保険の効かない診療)のWebサービスを運営していた。社員数は5人くらい。雑居ビルの一室がオフィスだった。

しかし、YahooやGoogleで「矯正歯科」などで検索すると矯正歯科学会や「おるそど・ぬ」という矯正歯科のサイトなどが上位に来て、矯正歯科ネットはかなり下の方に位置していた。インプラントネットや審美歯科ネットも同様。検索で上位表示させることが課題になっていた。

入社してから他の先輩社員に「どんな対策を行っているのですか?」と聞いたら、infoseekやGooに対して有効だった隠しテキストなどの手法を使っていることがわかった。

「それではGoogleに対して効果がないです。からだネットとインプラントネットと矯正歯科ネットと審美歯科ネットを相互リンクで結べば順位が上がると思います」と提案した。

社長から「本当にそんな事で上がるの?」と疑問を呈されたけど何とか説得して押し切って、グローバルナビを設置した。

その結果、「インプラント」や「矯正歯科」などで検索すると1位に表示されるようになった。その功績が高く評価された。あと「歯医者さんネット」の名付け親にもなって、これも「歯医者」で検索すると当時1位になった。「ハフー」や「ハーグル」という名称も提案したけど却下された。

その後に私は退職するけど、日本メディカルネットコミュニケーションズ株式会社は東証マザーズに上場した。こんな長い名前の会社が上場することはないだろうと思っていたけど(^_^;)

Yahooビジネスエキスプレス

YahooとGoogleが連携するようになってキーワード検索は増えたけれど、依然として日本ではYahooのカテゴリ階層を辿るユーザーが多かった。そのため、Google対策を進めつつ、Yahooのカテゴリに登録させることが未だ重要だった。

その当時にYahoo!Japanが「ビジネスエクスプレス」というサービスの提供を開始した。これはYahooに5万円くらいを払うと短期間でカテゴリ登録の審査が受けられるサービスということになっていたが、事実上の掲載保証だった。

ビジネスエクスプレスを申し込むとよっぽど問題のあるサイトではない限り、ビジネス関連のカテゴリに掲載された。問題があっても修正点の連絡が来て、それを修正すると掲載がほぼ約束されていた。

このためベンチャー企業としては「弊社に任せて頂ければYahooカテゴリに掲載させることが可能です」的な謳い文句で儲ける手段になった。もちろん多くの顧客はそのことを知らないので5万円より上乗せした料金設定になっていた。

DMOZ

Yahooの真似をしてGoogleがディレクトリサービス(カテゴリサービス)を始めたことがあった。Googleディレクトリというサービス名だけど、このデータはDMOZというボランティアベースのWebサイトをカテゴリ分類していくプロジェクトのデータが使われていた。

当時Googleはgooglebotを巡回させるときはDMOZから巡回させると公表していた。このためDMOZのページランクは高く、多くの人が(ビジネスの目的も含めて)DMOZのカテゴリエディターになろうとした。

このカテゴリエディタは審査制で決まるのだけど、私は社会学カテゴリのカテゴリエディタになることが出来た。ただ、DMOZはボランティアベースなのに運営が厳格すぎて問題が多く、かなりの人が短期間でDMOZから離れていった。

今はGoogleもディレクトリサービスをやめているので、DMOZのほとんどのデータは放置されている。

日本語URL・内部対策と外部対策の誕生

ページランクを悪用したスパムが多くなってきたので、Googleのアルゴリズムは徐々に変化していった。被リンクを大量に生み出すようなスパムサイトとのいたちごっこが始まった。

そんな中で一時期、日本語URLが非常に評価された時期があった。Amazonもやっていたけど、googlebotにクロールさせるURLは日本語URLにする手法が流行った(人間のURLとは別)。

livedoor Clipも日本語URLをGoogleに認識させることでクリップページの表示順位が上がり、Adsense売上が数倍以上増えたことがあった。株式会社はてなのはてなブックマークでもほぼ同様の手法が使われていた。このためクリップページやブクマページが元記事よりも検索上位に表示されるような状況が起きた。現在はもう対策されているけど。

そんな中でHTMLの構文やタイトルや見出しなどの重ねづけをGoogleが重視し始めたので内部対策が、外部からの自然なリンク(に見せかけたもの)を獲得する外部対策が、重要なSEO対策として浮上してきた。テーブルレイアウトやFlashなどはこの頃から忌避されるようになってきた。

FirefoxユーザーとしてはWeb標準化が進んだのは嬉しい変化だった。

銀の弾丸がなくなったSEO対策

Yahooが独自の検索エンジン(YST)を導入したこともあって、あんまり賢くないアルゴリズムだったのでワードサラダなどトリッキーなSEO手法が有効だった時期もあるけど(当時ワードサラダ用に約1000個の中古ドメインを購入した)、今となってはGoogle一強体制になっていたちごっこに終止符が打たれようとしている。

Googleのパンダアップデートやペンギンアップデートなどによって銀の弾丸はなくなったのだ。SEO関連企業も今はあんまり「SEOの会社」とは名乗っていなくて、Webマーケティング企業やアドテクノロジー企業としての転身をはかっている。依然として営業が主体であんまりエンジニアはいないけど。

内部対策や外部対策も以前のように重要ではなくなった。SSL導入やAMP導入など色々な話題は出てはいるけど、それは銀の弾丸ではない。ソーシャルに共有されるくらい話題になるコンテンツを書いた方がよっぽど重要になってきた。

統計学と確率論のアプローチでGoogleのアルゴリズム改変に迫ろうとするSEO業者や、Googleの特許を研究することによってGoogleが将来実装するであろう機能を先読みしようとする動きもあるけど、あんまり生産的ではないように思う。もうマウンテンビューの天才達には小手先の手法では勝てない。

ちょっと裏話

ただ、YahooやGoogleとの取引額が大きい企業だと、例えばGoogleが近々実装する予定の機能などを先行して内緒で教えてくれる場合もある。そういうのを活用している企業はいくつか知っている。

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