多重派遣で学歴も詐称されていた思い出

SE多重派遣問題が話題になっているので、自分も多重派遣の思い出を書く。

派遣エンジニアの思い出

以前、「コールセンターで人を殺した思い出」という記事で、商社系のシステム開発部門に派遣されてクレジットカードのコールセンターの債権回収システムを開発した思い出を書いた。あの時ももちろん多重派遣だった。

ティーカップに勤めるちょっと前の話だけど、私はサーバー技術に詳しくなりたくて、求人サイトで「未経験歓迎・研修制度あり」という求人を出していた恵比寿の会社に応募した。恵比寿の会社の面接で「サーバーに関してはどれくらい経験がありますか?」と聞かれた。「あんまり経験はないのですが、GUIでSolarisマシンを自宅で使ってみたりしています」と答えた。その日のうちに採用の電話が掛かってきた。その電話で、次は五反田にあるシステム開発会社に一緒に来てほしいと言われた。

五反田の会社はけっこう大きな会社で、防衛省から防衛技術開発などの仕事を受注している上場企業だった。そこに恵比寿の会社の社員として紹介された(まだ面接しか受けたことがないのに)。五反田の会社のシステム開発部長が出てきて、恵比寿の会社の面接官だった人が「Solarisスペシャリストの齊藤さんです」と私を紹介した。それで五反田の会社のシステム開発部長が「ちょうどSolaris案件があります」と、春日の商社系システム開発会社の仕事を紹介してくれた。

次は、その五反田のシステム開発部長と一緒に、春日の商社系システム開発会社を訪問した。私は「五反田の会社の社員でSolarisスペシャリスト」として紹介された。名刺は切らしています、ということになった。そこで商社系開発会社の本部長からコールセンターの開発業務をやらないかと薦められた。コールセンターの自動架電(アウトバウンド)で債権回収システムを販売しているので、その発信制御のSolarisサーバーの構築をしてほしいと依頼された。

そうして私は、面接を3社分受けて、商社系のシステム会社で働くことになった。詳しい業務内容は以前の記事に書いたので割愛する。ただ、お客さんのクレジットカード会社を打ち合わせで訪問するときには商社系システム開発会社の社員と名乗るように指示された。もちろん、指揮・監督は商社系システム開発会社の上長から依頼が来た。

業務内容は下駄を履かされていたので、未経験に近かった自分にはかなりキツかった。経験者だと思われていたので、CUIでのSolaris操作、Solarisのカスタマイズや構成、必要ハードウェアの見積もり(Solarisマシンって高いやつだと数千万くらいする)、リモート保守、ダイヤリングハードウェアとの通信制御、CTI(Computer Telephony Integration)の知識、SIerの流儀、全ての面において素人なことが露呈した。特にC shellのコーディングは、シェルスクリプトのコーディング自体が未経験に近かったので、「返り値って何?」というところからスタートした。

何度も叱られながら、やっとの思いで食いついていった。毎月末の月報は、商社系の会社と五反田の会社と恵比寿の会社にそれぞれ違うフォーマットで出さないといけないので大変だった。お客さんのクレジットカード会社の拠点に出張するため、名古屋や博多にも行って客先やNTTデータのビルでも働いたんだけど、旅費やホテル代の請求がすごく厄介だった。3社でそれぞれ請求の仕方が違うのだ。面倒なので自分で払ったりしていた。

IBMが元請けの案件もあって、日本IBMのオフィスで進捗会議が開かれて、そこに商社系システム開発会社の代表として出席して発言したりもした。「○○さん、どう思いますか?」って会社名で聞かれるので、会社を代表した答えをしなきゃいけない。自分を演じるのが大変だった。

その後、恵比寿の会社が私を自社サービスの開発に充てたい」と言い出して、五反田の会社が「契約違反だ」と言い出して、商社系の会社が「辞められると困る」と言い出して、賠償請求とかの騒動になったらしい。詳しい経緯はあんまり聞いていない。

労働者派遣法の改正前の話だったけど、もう二度と技術者派遣の会社には就職したくないと思った。「未経験歓迎」「勤務地:都内各所」とか書いてある求人には以後絶対に応募しなかった。

自分が商社系の会社に紹介された時、経歴書にも下駄が履かされていたらしい。経歴書がどういうルートで回ったのか知らないが、コールセンターの開発業務をやっている時に、商社系の人から「齊藤さんって青山学院大学出身ですよね?」と複数の人から聞かれた。や、青山学院大学なんて学祭にナンパしに行ったことしかないよw 大学名が漢字6文字なことくらいしか共通点がない。しかも私は大学中退だし。